Project SOLA

誰も理解できない道を進め。未来が君を信じてくれる。

新しい時代認識を与えてくれる一冊【天地明察】#projectsola

      2017/04/11

天地明察。

江戸時代に数学を志す学者たちの物語。学者たちが互いに問答をする中で、その興味、動きは次第に天文学にまで及び、時代の変化とともに、日本独自の新たな暦を導入を目指す変革を起こしていく……。

漫画を読んだが、非常に良かった。
個人的な予想だが、これから人々が向けるべきは、「遊び」「表現」そして「学問」であると思っている。天地明察はそんな「学問」の面白さと奥深さを教えてくれる物語だ。



江戸時代の算学者たち

ロボットや人工知能の発達により、これから人間の仕事が無くなっていくと言われる時代。実はそんな時代が過去の日本にもあったことをご存知だろうか。

それは江戸時代。
戦乱の世である戦国時代が終わり、天下平定が行われた後。ご存知のように、それまでは戦という重要な仕事があった武士たちが、平和になったことにより職を失う。
それまでは武勇を競い、幅を利かせていた武士たちが役目を失って、傘を貼るなど、内職をして稼ぎを得る者も出る中、幕府は穀潰しになっている武士たちの新しい仕事を作ろうとする。

主人公は碁打ちでありながら、数学を始めとする学問の魅力に取り憑かれた落ちこぼれ武士だ。そして、いまいちのめり込めない碁の仕事をしながら、次第に仕事などそっちのけで学問にハマり始める。終いには、その学問好きが認められ、幕府から新たな仕事を命じられるのだが……。

原作は冲方丁の歴史小説なのだが、漫画版は絵の雰囲気がどこか柔らかく、江戸時代の世界観をうまく表現している。特に、登場するヒロインとの距離感や関係性も、時代感をうまく反映させながら、読んでいる者の心をくすぐる恋愛要素も含み、見事な艶のある展開が描かれている。学問一筋で不器用な主人公を、つい応援したくなるようなもどかしさがとても良い。

改暦の儀

後半は「暦を変える」という文字通り歴史的な改革をやり遂げるに辺り、当然ながらその過程において何重ものハードルが存在し、大きな失敗も侵してしまう。だが、彼らはそこで諦めることをせずに、「何故失敗したのか?」を検証し、修正し、再び改暦に挑戦し、そして最後には……。

世間では、オリンピックなどのスポーツは派手に取り上げられるが、緻密な知識を膨大な歴史と共に積み上げて作る学問の世界には、なかなかスポットライトが当たりづらい。だが、世界のほとんどは、そうした学者たちが積み上げてきた学問の上に成り立っている。

実は筆者自身も自然科学が好きで、ずっと勉強している途中なのだが、もうすっかりハマってしまった。
かつての武士のように、現在仕事が見つからずに悩んでいる若者たちは多いようだが、そんな人は、ぜひこの【天地明察】を読んで、学問の面白さと奥深さを体験してみてはどうだろうか。

……そう、世界はまだまだ不思議で満ちているのだから。

あと登場する女性が素敵。

 

 - 物語社会学 , , , ,