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かっぴーの休載と下剋上を目指す漫画家たちとその想いが昇華される時

      2017/07/13

かっぴーの休載と下剋上を目指す漫画家たちとその想いが消化される時

【左利きのエレン】というWebマンガがある。

広告とアートの業界をうまく表現した、好きなマンガの一つだ。その言葉の強さとシーンの演出は見事で、クリエイターを目指すものなら何度涙するか分からないというアツいマンガである。

その左利きのエレンが、もうエンディングまであと僅か……!という所で、作者であるかっぴーが休載に入る、というお知らせがあった。

少し休みます。/かっぴー https://note.mu/nora_ito/n/ne2ba0ae12841

その中身を読んでみて、少し思う所があったので記しておこうと思う。



燃え尽きる下剋上漫画家たち

私が好きなのは、努力する主人公が天才に勝つという、いわゆる『下剋上』漫画なのだが、このようにギラギラとした狼のような下剋上を目指す主人公を描く漫画家は何人か存在する。例えば、バガボンドの井上雄彦・ベルセルクの三浦建太郎・ヴィンランドサガの幸村誠などだ。

こうした下剋上漫画を描く人たちは、少なからず自分自身の精神状態を投影し、売れない時代からのし上がっていく過程を主人公に重ねているのだろう。そのリアリティがうまく表現されていると、非常に共感してしまう。

しかしこれらの作品は、矛盾するかのように、『作者の中で下剋上が達成されてしまうと、作者のモチベーションが変化してしまい、主人公の意識も変化する』という結果に陥りやすい。

若干ニュアンスは違うが、こちらに当事者である漫画家のリアルなレポート漫画が公開されていた。

カメントツの漫画ならず道 https://www.sunday-webry.com/comics/manganarazumichi/ep012/

おそらく、最初にマンガを描き始めたモチベーションは、成功するにつれて、どこかで昇華されてしまうのだろう。

例えば、プラネテスのハチマキが『愛』に目覚めた時。

例えば、ベルセルクのガッツが、仲間に『感謝』した時。

作者はきっと、下剋上の燃えるような想いが、作品と共にプラスへと変化したのだろう。……冒頭のかっぴーの休載も、それに近いものがあるのではないだろうか。主人公の光一が、苦難の末に自分の道を見出した時。作品のモチベーションだった下剋上魂が、どこか救われてしまったのだ。本人はこう語っていた。

「自分ができなかったけど、できたかもしれないことを光一が達成しているのを見て、絶望した」

下剋上漫画家は、成功したら燃え尽きてしまうというのが宿命として定められているのかも知れない……。

伝説の編集者がボツを繰り返す理由

【全文公開】伝説の漫画編集者マシリトはゲーム業界でも偉人だった! 鳥嶋和彦が語る「DQ」「FF」「クロノ・トリガー」誕生秘話

少し話は変わるが、これは非常に参考になる情報が詰め込まれていた対談だった。さすがDr.マシリト。

中でも一番大事だと思った部分がこれだった。

『ボツを繰り返すことで、その作家にしか描けない部分が見えてくる』

これはつまり、『身に付ける』というよりも『削ぎ落としていく』という行為だ。

これが人生では最も大事だと思う。

物語でも同じで、その人にしか描けない物を見つけることが一番重要で、その過程において『ボツ』が最も大事であると。これは起業においても同様で、色々試していく中で失敗を繰り返すことによって、『その人にしかできないこと』というのが見えてくるのだ。編集者はそれを客観的に指摘することができる人物なのである。

というわけで、私も編集者を募集中だということを最後に付け加えて締め括ることにしよう。

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